新興国株式に投資する必要はない?~~米国株式との比較~~

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投資信託の場合、最適な運用方針は、人によって異なります。
そのため、「新興国株式に投資すべきか」を検討するためには、まず年齢や投資目的をはっきりさせる必要があります。

運用方針を立てる

最適な運用方針は、人によって異なります。

・米国株:ボラティリティ(価格変動)が小さい。
・新興国株:ボラティリティ(価格変動)が大きい。

私は30代で、ボラティリティの大きいものを好むため、新興国株に投資しています。

「年配の人であれば、株式インデックスはやめた方がよい」との考え方もあります。というのも、株式インデックスは長期運用を前提としますが、年配の人は平均余命が短く、長期運用できないためです。
年配の人は、投資を開始する時期ではなく、それまで積み立てた資産を切り崩し、投資を終わらせる時期であるということですね。

ちなみに想定以上に長生きすることを「長生きリスク」と呼んだりします。嫌な言葉ですが(笑)
たとえ若者であっても、投資の終わらせ方を考慮しておくべきかと思います。
せっかく大きな資産を築いても、使い切れずに死んでしまっては元も子もないですからね~。

チャートで比較 アメリカ株価と新興国株価

まず、S&P500(アメリカ株価)と、EEM(新興国株価)を比較してみます。
EEMは、新興国の代表的な株価指数である「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」に連動するように設計された、海外ETF商品です。


・2000年代はEEM(新興国株価)が優秀で、2010年代はS&P500(アメリカ株価)が優秀でした。20年間の通算リターンは、どちらも同じく200%超えです。

・S&P500は緩やかな右肩上がりで、EEMは上下動の激しい右肩上がりです。

・2007年頃(リーマンショック直前)にEEMを購入した場合、いまだに含み損を抱えていることになります。


・ちなみに「EWZ」(ブラジル株価ETF)は、さらに値動きが激しくなっています。
EEMは、ブラジルを含む多くの新興国に分散投資することで、ブラジル一国の値動きをマイルドにしたものといえそうです。



機械的にリバランス


株で儲ける方法はただ一つ。安く買って高く売るだけです。
しかし、それができれば誰も苦労しません。だから「ドルコスト平均法+リバランス」の合わせ技が推奨されるのですね。

・ドルコスト平均法とは:
毎月一定額を積み立て投資すること。

・リバランスとは:
あらかじめ決めておいたポートフォリオの比率に合わせて、定期的に調整すること。


たとえば新興国株が占める比率を、常に10%に保つように決めておきます。
もし、1年後に新興国株価が下落した場合、ポートフォリオに占める新興国株の比率は小さくなります。そこで、新興国株の比率が10%になるように、新興国株を買い増します。

同様に、アメリカ株が占める比率を、常に30%に保つように決めておきます。
もし、1年後にアメリカ株価が上昇していた場合、ポートフォリオに占めるアメリカ株の比率は大きくなります。そこで、アメリカ株の比率が30%になるように、アメリカ株を売却します。

このようにリバランスとは、価格が下落したもの(ポートフォリオに占める比率が以前より小さくなったもの)を購入し、価格が上昇したもの(ポートフォリオに占める比率が以前より大きくなったもの)を売却することだから、「安く買って高く売る」を実践していることになります。
もちろん、すでに保有しているものを売却せずに、価格の下落したものを余剰資金から追加購入することによって、リバランスすることもできますね。


ちなみにこちらの記事では、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」について紹介しています。この商品の構成比率は、先進国88%、新興国12%です。また全体の55%をアメリカが占めます(2020年4月現在)。
「eMAXIS Slim」シリーズにかぎらず、競合他社の商品も同様ですが、「全世界株式」と銘打った商品は、先進国(主にアメリカ)と新興国とのリバランスを自動的に行ってくれるため、管理がラクです。
「新興国株の比率はどれくらいがよいだろう…?」などと頭を悩ませる必要もありません。

手動でリバランス


手動でリバランスする場合は、新興国株式の比率を、自分の判断で調整することになります。
自分で相場を読む必要があり、管理が面倒ですが、うまくいけば大きなリターンを狙えます。

こちらのチャートで灰色の直線は、リターン率5%/年と仮定した場合を示します(2006年を基準とする)。

・アメリカと新興国のいずれが安いかは、基準年によって変わります。買い時の判断は難しいですが、仮に2006年を基準とすると、この灰色ラインを下回ったときが、買い時の目安となりそうです。

・2011~13年はS&P500の買い時で、2016~17年はEEMの買い時でした。

・2009~11年にEEMの値上げ幅が異様に大きいのは、2008年リーマンショックによる急落からの反動だと思われます。

・2009年(リーマンショック直後)、直近のピーク値からの下落率は、EEMが-120%で、S&P500が-60%。よって、下落率の大きいEEMをリバウンド狙いで購入すべきでした。

が、こういう話は過去を振り返ってはじめて分かること。だからドルコスト平均法なるものが推奨されるのですね。

で、結局どっちが有利なのか?

「機械的なリバランスと、手動リバランスのどちらが有利なのか?」
この問題は、「インデックスつみたて投資か、それとも相場を読んで割安株に集中投資か、どちらが有利なのか?」と言い換えることができます。
これは永久に答えの出ない問題ですが、私は個人的に、リターンの大小ではなく、好みの問題としてとらえています。

相場を読んで割安株に集中投資する人は、チャートとにらめっこしたり、金勘定が好きな人です。
一方、「そんなの時間の無駄だ。私たちは金勘定するために生まれてきたわけじゃない。投資するのは必要に迫られてであって、投資にかける時間を極力減らしたい」って考える人は、きっとインデックスつみたて投資を好むと思います。

ちなみに私は前者です。金勘定が好きなもので(笑)


こちらの記事では、新興国株価の決定要因について、少々マニアックな話をしています。


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