外国株式インデックス 長期チャートを見る方法

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外国株式インデックス・ファンドの購入を検討するとき、過去の価格チャートは要チェックですよね。
でも、証券会社のwebサイトでは、長期チャートを見れません。
たとえば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、2018年スタートの投資信託で歴史が浅いため、過去の株価を確認できません。

そんなわけで今回は、外国株式インデックスについて、過去のチャートを見る方法を紹介します。
この記事では、三菱UFJ国際投信が販売する「eMAXIS Slim」シリーズを例に挙げますが、楽天やSBI証券など競合他社が販売する商品の場合も、考え方は同じです。

外国株への為替の影響について、基本的な考え方


外国株インデックスは、基本的にドル建てです。つまり、ドルで運用されています。そのため、「外国株インデックス」に「ドル円レート」を掛けると、日本人から見た価格が分かります。「日本人」っていうのは、日本円を使う人のことですね。国籍の話はしてないです(笑)

もし「ブラジル株式投資信託」的なものであれば、たぶんブラジル通貨のレアル建てで運用されています。この場合は、「ブラジル株の運用成績」に「レアル円レート」を掛けると、日本人から見た運用成績を導くことができます。

具体的に見ていきましょう。


eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)


・「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」とは、アメリカ株価指数の「S&P500」(円換算)に連動する商品です。

・運用成績は、 「S&P500」を円換算したものです。「S&P500」はドル建て、「eMaxis slim 米国株式(S&P500)」は円建てです。
したがって、「S&P500」に「ドル円レート」を掛け算すれば、「eMaxis slim 米国株式(S&P500)」の正確な値動きを確認できます。

・ちなみに下図は、「S&P500」を、ドル建てと円建てで比較したものです。
オレンジ色の「S&P500(ドル建て)」とは、いわゆる普通の「S&P500」指数です。googleで「S&P500」で検索すると、最初にヒットするヤツですね。


過去20年の長期で見ると、どちらも大差ないですね。なぜなら過去20年を通じて、ドル円はおおむね、100円±20%のボックス相場であったためです。たしかに1ドル140円とか、1ドル80円のときもありましたが、「S&P500」に比べると、値動きは小幅でした。

まあ、こういうチャートは、どの時期を切り取るかによって印象が変わるので、「アメリカ株価の値動きに比べると、ドル円の影響なんて微々たるものだ!」という私の意見も、あくまで参考程度に聞き流してください(笑)


eMAXIS Slim 新興国株式インデックス


・「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」とは、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」(円換算)に連動する商品です。

・この商品の過去のチャートを簡単にチェックするためには、「EEM」の株価チャートを見ればOKです。

・「EEM」とは、新興国株に投資する海外ETF商品であり、ざっくりいえば「eMaxis slim 新興国株式インデックス」のアメリカ版です。
「EEM」の運用成績は、ドル建てで表示されます。一方、日本の商品である「eMaxis slim 新興国株式インデックス」の運用成績は、円建てで表示されます。
いずれの商品も、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」に連動するように設計されています。
したがって、「EEM」に「ドル円レート」を掛け算すれば、「eMaxis slim 新興国株式インデックス」の正確な値動きを把握できます。


※為替の仕組みについて、さらに詳しい解説

下図は「eMaxis slim 新興国株式インデックス」の構成国比率です。



「EEM」は、《新興国通貨・ドルレート》の影響を受けます。一方、「eMAXIS Slim」は、《新興国通貨・円レート》の影響を受けます。
要するに「EEM」は、新興国通貨からドルへと換算したものなので、これをドルから円へと再換算すれば、ドルの影響を取り除いた運用成績を表示できるわけです。


eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)


・「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の運用成績は「MSCI ACWI」を円換算したものです。

・「MSCI ACWI」×「ドル円レート」で、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の正確な値動きを確認できます。考え方は、上記2商品と同じですね。


「ややこしい解説は必要ない。今すぐ円換算チャートを見たい」って人のために


参考までに、webサイト「TradingView」へのリンクを載せておきます。次のリンクをクリックすれば、最新の株価チャート(円換算)を確認できます。

・S&P500×ドル円レート
「eMaxis slim 米国株式(S&P500)」の価格推移に等しい。

・EEM×ドル円レート
「eMaxis slim 新興国株式インデックス」の価格推移に等しい。

・MSCI ACWI×ドル円レート
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の価格推移に等しい。

リンク先チャートの右軸は、「金額表示」と「%表示」から選択できます。「金額表示」の場合、「eMAXIS Slim」シリーズの実際の金額とは異なります。あくまで外国株式インデックスを円換算したときの値動きを、ビジュアルで把握するために使ってみてください。
外国株の投資信託を検討する一助となれば幸いです。

「TradingView」は広告うざいですが、無料会員登録すれば広告は消えます。類似サイトに比べてかなり使いやすいと思います。



新興国株価と為替の関係について、こちらの記事でも考察しています。

外国株インデックスの用語について、こちらの記事にまとめてみました。


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