金価格の決定要因~~金とドルの関係について~~
金価格の高騰が話題ですね。
多くの投資家にとって、金(ゴールド)を購入する動機は、たぶん次の二つです。
・リスク回避
突発的な株価下落に備えて、金を資産の一部に組み込む人が多いですね。
・キャピタルゲイン狙い
金は、基本的にインカムゲイン(利回り)がありません。そのため今後の値上がりを期待して、キャピタルゲイン(売買差益)狙いで購入する人もいますね。
突発的な株価下落に備えて、金を資産の一部に組み込む人が多いですね。
・キャピタルゲイン狙い
金は、基本的にインカムゲイン(利回り)がありません。そのため今後の値上がりを期待して、キャピタルゲイン(売買差益)狙いで購入する人もいますね。
この記事では金の値動きについて探ってみます。
金価格チャート 株価との比較
まず、「急激な株価下落に備えて金を保有する」という行動に意味があるのか?
過去のチャートを簡単に振り返ってみます。
アメリカ株価と金価格を分け隔てるバリヤーは、次第になくなってきている印象ですね。
2015年以降、S&P500は上昇し、金価格も大きく上昇しています。
また2020年3月コロナショックのとき、金価格もつられて下落しました。
とはいえ、金価格と株価の下落率は異なっているので、金にリスクを分散させる効果はあったといえそうです。
以上から、次のことが言えそうですね。
以上から、次のことが言えそうですね。
急激な株価下落時、金価格はさほど下落しない。
ただし好況期において、株のリターンが最も大きい。
ただし好況期において、株のリターンが最も大きい。
金価格の決定要因
金価格と逆の動きをするものとして、アメリカ実質金利が有名ですね。
左軸を上下反転したグラフもよく見かけます。
「金価格とドル実質金利は逆相関だ」ってことが一目瞭然ですね(^^♪
・実質金利=名目金利-インフレ率
・米インフレ連動10年債利回り
10-Year Treasury Inflation-Indexed Security, Constant Maturity:
「TIPS」とも。インフレ率(消費者物価指数)に連動して元本が増減する。10年債利回り(名目上の値)からインフレの影響を取り除いたものであるため、その利回りは実質金利に等しい。
・米インフレ連動10年債利回り
10-Year Treasury Inflation-Indexed Security, Constant Maturity:
「TIPS」とも。インフレ率(消費者物価指数)に連動して元本が増減する。10年債利回り(名目上の値)からインフレの影響を取り除いたものであるため、その利回りは実質金利に等しい。
金価格とドルの関係
なぜ、金価格とアメリカ実質金利は逆相関なのでしょうか?
金はドル建てで取引されます。かつての固定相場制(ドルと金の交換レートが固定されていた時代)の名残りですね。
そのため、金とドルは逆の値動きをします。すなわち、金高はドル安であり、金安はドル高のことです。
が、「そもそもドルの価値をどうやって測るねん」っていう疑問が生じますよね。
ドルの価値を測るには、いくつかの方法があります。
・ドル指数:主要通貨に対するドルの為替レート。すなわち、ユーロ・英ポンド・日本円など外国通貨に対する米ドルの交換レートから、ドルの価値を計測したもの。
・ドル実質金利:名目金利(米10年債利回り)とインフレ率から、ドルの価値を計測したもの。
・ドル実質金利:名目金利(米10年債利回り)とインフレ率から、ドルの価値を計測したもの。
こちらのチャートをみると、「金価格とドル指数は逆相関だ」といえるかは微妙です。
たしかに1年以内の短期でみると、ドル安=金高の関係がおおむね成立しているように見えます。しかし2019年以降、両者の連動性は崩れています。
また2006年~2020年の長期でみると、やはり金価格とドル指数が逆相関であるとは言えないですよね。2006年から2020年にかけて、ドル高、かつ金高となっているわけだから。
あるときは逆相関が成立し、またあるときは逆相関が崩れる。そんなもの、指標として使えません。
というわけで、金価格と比べるときには、ドル指数ではなく、ドル実質金利がいいよってことですね。
今後の金価格見通し
で、これからもドル実質金利が金価格の指標として使えるかってことですが…。
ドル実質金利を、名目金利とインフレ率に分解してみました。
※コロナショック時の国債利回り急上昇(国債価格低下)は、ドル需要が急増し、国債がドルへと換金されたためであった。FRBによる一連のドル供給策により、数日で収束した。
・2019年以降、金価格は上昇しています。2019年の金価格上昇の要因は、10年債利回りの低下にあったといえそうです。
・今後3年間の金価格の見通しとして、インフレ率に着目すべきでしょうか。どうせ名目金利は0%台で推移するでしょうから(政策金利、10年債利回りともに)。
・「単純に考えれば、コロナ収束で実需が回復すると、インフレになる。少なくともデフレになる可能性は低いはず。またFRBとしては、デフレ長期化を避けるために何でもやるだろう。結果として金価格は上昇するはず…」と予測する人が多いので、金価格はすでに上昇しているのでしょうね。私はもっと上昇すると思いますが、いかがでしょうか。
金ETFまとめはこちら。
金の需給データについて考察してみました。
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