投資に反対する家族を説得する方法

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投資を本格的にはじめるとき、親や奥さんなど家族の理解を得られずに悩んでいる人は多いらしいですね。
投資に反対する家族の人は、「良かれと思って」「投資という危険な道に引きずり込まれないように」、食い止めてくれているのでしょう。いわば善意で反対しているわけですから、そんな相手に向かって「投資って素晴らしいんだ!」って力説したところで、同意してもらうことはなかなか大変だと思います。
そこで今回は、投資に反対する家族を説得する方法についてまとめてみました。



GPIFや、金融庁のNISAなど、政府系機関を引き合いに出す

  1-1 GPIFを引き合いに出す

身も蓋もない言い方ですが、投資に抵抗感をもつ人は、権威になびきやすいです(管理人調べ)。
そのため、GPIFや、金融庁のNISAを引き合いに出して、政府系機関が投資を行っている(または、投資を推奨している)点を挙げると、効果的でしょう。政府の権威を利用して説得するわけですね。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とは、何を行っている組織でしょうか。思い切って単純化すると、次の通りです。

GPIFは、私たち国民が支払った年金で株を買っている。

いわばGPIFは、私たちが将来もらえる年金を少しでも増やそうと頑張ってくれているわけですね。もちろん、ただやみくもに株を買っているわけではありません。元手を減らしてしまっては元も子もありませんから。
GPIFは、日本株式・日本債券・外国株式・外国債券に分散投資することで、とても堅実な運用を行っています。



※出典:GPIF 
(外国株式は25%±7%となっているが、これは変動する評価額の許容範囲を表す。つまり外国株式と外国債券を合わせて、最大63%が外国資産で運用される可能性がある)


たしかにコロナショック時などにおいて、一時的に資産が減ることはあります。が、10~20年程度のスパンで見ると、運用益を上げている点に着目すべきでしょう。
GPIFのWebサイトによれば、2001年の運用開始以降、20年間の運用益を平均すると、1年につき2.97%ですね。

参考までに、GPIFの過去20年間の収益状況を載せておきます。
2008年リーマンショック、2020年コロナショックのときは、資産を一時的に減らしていますが、すぐに回復しているのが一目瞭然ですね。
べつにどのチャートを見ても一緒だけど、GPIFは権威がありそうなので(笑)



※出典:GPIF
https://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.html



私たち国民の年金の一部を元手にして、GPIFは投資を行っています。ある意味で、私たちの意思にかかわらず、私たちは間接的に投資を行っているといえます。
すでに間接的に投資を行っているのであれば、直接的に投資を行うのもほとんど同じことです。だから自分で投資をはじめましょう。投資は決して危険なことではありません。
「でも…」と慎重な家族の人は言うかもしれません。「でも、万が一、GPIFが株で損失を出した場合、GPIFは国の機関だから国が税金で助けるかもしれない。だけど国民個人が株で損失を出しても、国は助けてくれないではないか?」と。

たしかにその通りです。
もし今後、株式市場が暴落し、GPIFが多額の含み損を出した場合、国はGPIFを助けるでしょう。このとき、政府はおそらく株式市場を助けるはずです。つまり、政府がGPIFに直接、お金を渡すという方法ではなく、株式市場にお金を投入するという方法で助けるはずです(いわゆる金融緩和のことですね)。

政府系機関が株式市場に深く関与してしまっている以上、政府はもはや株価を下げることはできない。もし株価が下がったとしても、一時的な下落に食い止め、さらに株価を復活させるために、政府はあらゆる手段をとらざるを得ない。
要するに、政府と株式市場は持ちつ持たれつ、です。
(この辺りの話は、かなり単純化していますが、あまり複雑な話をしても説得には役立ちません。今回の記事は、あくまで金融に興味ない人への説得がテーマということで、ご勘弁ください)


  1-2 金融庁のNISAを引き合いに出す

さて、実際に投資をはじめる場合、つみたてNISAを利用して、インデックス投資信託が候補となるでしょう。
NISAとは、ざっくりいえば、「貯蓄から投資へ」という国の政策を推進するためにつくられた制度です。
NISAの税制面のメリットについては、皆さんのほうが詳しいと思うので詳細を省きますが、ご家族の方を説得するにあたって、重要なポイントを挙げてみます。

つみたてNISAの対象となる金融商品は数少ない。なぜなら、手数料の安い良心的な投資信託を、金融庁がセレクトしているためである。

長期投資向けのインデックス投資信託には多くの種類がありますが、つみたてNISAの対象となっている商品は、とりわけ安心感がありますよね。なんてったって、天下の金融庁が「この商品は良心的ですよ」ってお墨付きを与えているわけですから。(ご家族の方に説明するときには、ぜひ「金融庁」という言葉を強調してください)。

金融庁の目的は、投資環境を整備して、投資家を保護することです。つみたてNISAが導入された理由の一つとして、手数料詐欺まがいの悪質な商品を締め出すといった狙いは実際にあったと言われています。

また、つみたてNISAは、いつでも解約(換金)できる点も強調すべきかと思われます。
万が一、不慮の事故や病気などで、まとまったお金が必要になったとき、まず生活防衛資金を使うことになるでしょう。それでも足りない場合、つみたてNISAからいつでも自由に必要額を引き出せる点は安心です。この換金の自由さは、大きなメリットですね。
もちろんお金を引き出すときに市場環境が悪化していれば、元手が減っている可能性はあります。とはいえ、一時的に含み損となる可能性がある点は、あらかじめ家族に伝えておいた方が良いかもしれません。もし含み損が生じる可能性を家族に内緒にしていると、わずか1%の含み損が出ただけで「ほら見たことか。今すぐ解約しろ~」とか言ってくるかもしれませんから…。
このあたりは過去の長期グラフを活用しつつ、一時的にマイナスとなることがあっても、10年以上のスパンではリターンが出る可能性が極めて高いことを述べ、なんとか説き伏せるしかなさそうですね。

以上、説得の際に押さえておきたい、つみたてNISAのポイントをまとめます。

・残念ながら元本保証はないため、一時的に元本割れの可能性がある。
・ただし10年以上のスパンで考えると、利益が出る可能性が高い。
・いつでも換金できる。


つみたて投資のリターンは大きくない点を強調する

逆説的な言い方ですが、「つみたて投資は大きなリターンを期待できない」点を強調するのも、意外と有効かもしれません。とくに「投資は危険である」と考える人は、堅実志向です。そんなお堅い人に向かって、「1年で資産を2倍に増やすこともできる」などと述べては逆効果です。おそらく怪しげな詐欺商品やギャンブルの類だと思われるでしょう。相手の心はシャットアウトするはずです。
GPIFのように株式・債券ミックス型であれば、年利3%です。また株式インデックスの場合も、せいぜい年利5%くらいでしょう。この点を正直に伝えると、むしろ興味をもってもらえる可能性があります。
その際に説得のポイントとしては、定期預金と投資のリターンを比較してみてください。
日本の定期預金は年利0%だけど、投資信託は年利3%~5%が期待できる」という具合に。
「競馬より株が儲かる」などとは、口が裂けても言っちゃダメです。「競馬」というワードを出すと、「株=ギャンブル」という危険なイメージを相手に与えちゃいますから(笑)。

NGワード:競馬 パチンコ 大儲け
OKワード:定期預金 国債 コツコツ投資


この項の説得ポイントをまとめます。

・つみたて投資は大きなリターンを期待できないが、定期預金に比べて有利である。

少額からはじめて、実績を積み上げる

人間の考え方はすぐに変わりません。おそらくですが、いかにグラフを見せて熱弁したところで、すぐに投資に賛成してもらうことは難しいかもしれません。とくに奥さんと家計をひとまとめにしている家庭であれば、なおさら難しいと思います。

株主優待で釣る方法もありそうですが、ここでは管理人の知人男性から聞いた話を紹介してみます。
彼は奥さんに投資をはじめたいと持ち掛けたところ、当初、猛反対されたそうです。が、まずはお小遣いレベルの少額投資からということで何とか納得してもらい、3年程かけて粘り強くグラフやチャートを見せて説得を続けた結果、徐々に奥さんの理解を得られるようになったそうです。

このように、まずは少額投資からはじめて、リターンを上げるところを実際に見せることができれば、家族の考え方も変わってくるかもしれません。

資産は一日にして成らず。同様に、説得も一日にして成らずです。
今すぐにとはいかなくとも、投資にかける思いはきっと伝わるはずです!

ちなみにその知人男性いわく、「奥さんの金融リテラシーは全く上がっていないが、熱意だけは通じたらしい」とのこと。

参考リンク

・外国株の投資信託まとめ記事です。

J.P.Morgan "Guide to the Markets"
説得に役立ちそうな資料が豊富です。
日経新聞(2020/3/31)"GPIF、海外運用傾斜にリスク 外債比率25%に上げ"
GPIFのポートフォリオに関する記事です。

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