デメリットしかない? iDeCoをおすすめしない理由と、iDeCoをやるべき人・3つの条件
iDeCo(確定拠出年金)をやったほうがいいか、やらないほうがいいか。
各家庭それぞれの条件によって異なるため、一概には言えません。
iDeCoについて詳しい解説は他のwebサイトに譲るとして、この記事では、どんな人がiDeCoをやるべきなのか、分かりやすくまとめてみました。
iDeCoとは
iDeCo(確定拠出年金)とは、ざっくりいえば、年金の3階部分を投資信託で運用する制度です。
年金は3階建ての建物にたとえられます。1階が国民年金、2階が厚生年金、3階がiDeCoです。
1階部分と2階部分では、自分が将来的に受けとれる金額が確定しています(確定給付型)。一方で、3階部分に該当するiDeCoでは、将来的に受け取れる金額は投資信託の運用成績によって変動します。iDeCoでは、積み立てる金額はあらかじめ決まっているけど、受け取れる金額は決まっていない。つまり、拠出額は決まっているけど、給付額は決まっていない。そのため、「確定拠出年金」と呼ばれるのですね。
iDeCoのメリット、デメリット
細かい点を挙げればキリがありませんが、重要なポイントは次の3つです。
メリット①所得税・住民税の節税
年金に対して所得税と住民税はかかりません。iDeCoは年金に該当するので、iDeCoで積み立てた金額に対して所得税と住民税は発生しません。
要するに、収入の一部をiDeCoという非課税枠に逃がすというイメージですね。
メリット②投資収益に対して非課税
通常であれば、売却益・配当など投資で得た収益に対して、およそ20%の税金がかかります。しかしiDeCoでは、売却益・配当ともに非課税です。
デメリット①60歳にならないと受け取れない
あくまでiDeCoは年金であるため、原則的に60歳以上にならないと、それまで積み立てた金額を引き出すことができません。
このルールは、「つみたてNISA」との大きな違いですね。「つみたてNISA」では、それまで積み立てた金額をいつでも自由に換金できます。
iDeCoをやるべき人、3つの条件
結論からいえば、iDeCoをやるべき人は次の3つの条件をすべて満たす人です。
①投資を理解している。
②老後の資産形成に意欲的である。
③中所得者層以上である。
3つの条件について、簡単に説明します。
①投資を理解している人とは、元本割れのリスクを許容できる人です。
将来、iDeCoで積み立てた投資信託を換金するとき、もし相場環境が悪化していれば、それまでの含み益が減少する可能性があります。最悪の想定として、元本割れの可能性もあります。もし「将来、株価は上がる」と信じることができるなら、一時的な元本割れは気にならないでしょう。
ちなみにiDeCoでは元本保証型の定期預金も利用できますが、その場合、「投資収益に非課税」というiDeCoのメリットを活用できません。
②老後の資産形成に意欲的な人とは、今年の1万円より、30年後の1万円を重視する人です。
老後資産を重視する事情は人それぞれでしょう。 たとえば定年退職後の生活費であったり、子供や孫の学資金であったり…。
③中所得者層以上の人とは、今月の生活費に余裕がある人です。
高所得の人は所得税・住民税も高いですが、iDeCoで積み立てた金額に対して、所得税と住民税は発生しません。そのため、高所得であるほど、iDeCoによる節税効果は大きくなります。
一方、低所得者層は、生活費から通常の年金を支払うだけでも精いっぱいなので、さらに多くの年金を捻出する余裕などないでしょう。また、低所得者層は所得税・住民税がもともと安いので、iDeCoによる節税の恩恵はさほどありません。
iDeCoをやるべき人は、以上に挙げた3つの条件をすべて満たす人です。一つでも当てはまらない場合、iDeCoを利用するメリットは小さいと思われます。
たとえば、《世帯年収800万円以上、子供あり、夫婦ともに投資に理解がある》といった家庭であれば、iDeCoのメリットを最大限に受けられるでしょう。しかし実際のところ、3つの条件にすべて当てはまる人はかなり少ないのではないか、そう管理人は睨んでいます。
付記――iDeCoは従来の制度を改良したものにすぎない?
ところで、iDeCoという謎制度はどのようにしてできたのでしょうか?
というのも、NISA(またはつみたてNISA)は、投資をする人全員におススメできます。しかし、「よし!iDeCoを使おう!」て決心するためには、上述の通り、3つの条件をすべてクリアする必要があります。そんな人が、果たして今の日本にどれくらいいるでしょうか?
実際に、iDeCoを利用している人はごく少数だそうです(NISAの加入率が約10%に対して、iDeCoの加入率は1.9%)。
このように誰をターゲットにしているのか今一つ不明なiDeCoですが、どうやらiDeCoが開始された背景には、次の事情があったようです。
①もともと日本企業が独自に福利厚生として企業年金を設けていた。
→1990年代の長引く不況のため、確定給付型の企業年金が持続不能に。
→確定拠出型へ変更することで、運用資産目減りのリスクを従業員に負わせることができるようになった。
②転職する人が増えると、転職のたびに企業年金を解約しなければならなくなった。
→転職後も引き継ぎ可能になった。
③自営業やフリーターは企業年金がない。
→自営業でもフリーターでも会社員でも、誰でも加入できるようになった。
NISAが開始された目的はシンプルです。それは庶民に投資を広めるためです。
しかしiDeCoの場合、事情は複雑です。若干の私見を交えていえば、従来からの制度にいくつかの問題が生じ、それら諸問題の対処療法として、iDeCoという制度に統合されたといえそうです。
色々な考え方があるかもしれませんが、もし国の制度をゼロから設計できるのであれば、NISAの導入はあり得ても、iDeCoの導入などあり得ない、少なくとも管理人はそう考えています。
以上、年金制度そのものに懐疑的な管理人の一意見でした。
こちらの記事では、「年金は10年で元を取れるのでお得だと言われているけど、そもそも利率0%での計算はおかしいよね」という話をしています。
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